遠近両用累進屈折力レンズの基本概念
一般的に「境目のない遠近両用レンズ」と言われるレンズを「累進屈折力レンズ」と呼んでいますが、遠方視の度数、近方視の度数、中間視の度数と複数の度数が付いているために「累進多焦点レンズ」とも呼ばれています。
最もシンプルな多焦点レンズは、遠用度数と近用度数を張り合わせた二重焦点レンズ(バイフォーカル)と呼ばれるものですが、さらに中間度数を付けた三重焦点レンズ(トライフォーカル)もあります。
この中間度数をさらに細分化していくと遠用度数から近用度数まで連続的に変化した多焦点レンズができますが、その境目をなくした状態が累進レンズの基本的概念です。
このように累進屈折力レンズは一枚のレンズの中に、遠くを見るための「遠用部領域」と、近くを見るための「近用部領域」があり、その間に中間部領域の度数が累進的に変化する「累進部領域」があります。
遠くから近くまで無段階で度数が変化するため、一つのレンズでどの距離にでも焦点を合わせることができるレンズになっています。
しかし一枚のレンズの中に複数の度数を有しているため、度数の変化している領域を通して物を見ると歪んで見えたり、顔を左右に振ったときにゆれを感じたりします。
また、累進屈折力レンズの側方部には非点収差領域と呼ばれるエリアがあり、ここを通して見ると物が二重にボケて見えたりします。これらの欠点をどのように減少させているかが、累進屈折力レンズの性能基準になります。
また、累進屈折力レンズは一般的に、遠くを見るときはやや上目使いで、近くを見るときは下目使いで使用することになりますが、累進帯長が短いと、近くを見るときに眼を下方に回旋させる量が少なくてすむため近方視野は広くなりますが、累進帯長が短いほどレンズ側方部に非点収差と呼ばれる歪みが大きくなり、使用感は悪くなっていきます。
使用者の用途やメガネへの慣れにもよりますが、常用することを目的とした場合、累進帯長は14~16mm位 が一般的です。
現在は用途やフレームサイズに合わせて、さまざまな累進帯長や設計の累進レンズが発売されています。
中近両用レンズも基本的には遠近両用の累進屈折力レンズと同じで、中間部度数(累進部領域)を横に広く縦に長くとった設計になっています。
より快適な累進レンズへの工夫
この他、現在では累進レンズの欠点である明視領域を広げ、なおかつユレやユガミを少なくするためにさまざまな工夫がなされています。
その一つに、内面累進設計やレンズ表面と裏面に異なる累進面を施した両面複合累進という設計方法があります。(これは正確さを欠く表現ですが)
これまで累進面はレンズの表面に施していましたが、内面に累進面を付けることにより明視領域を広げなおかつユレやユガミを少なくすることができ、レンズの表面と裏面の複雑なカーブの複合によって理想的な見え方を得ようというものです。
累進レンズの場合、複雑なレンズカーブを組み合わせるため、少しのユレを改善するのにも莫大な時間をかけ研究が行われています。
近年のコンピュータの発達により複雑で膨大な計算が可能となたことから、累進レンズはさらに進化しております。
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