眼鏡士国家資格制度について

人は、外界から取り入れる情報の80%以上は眼から取り入れるともいわれます。

実際には、パーセンテージでは表せないほど視覚に頼っている事が多く、情報の入力機関である視覚は、五感の中でもとても重要な感覚器官です。

その情報入力器官である大切な眼ですが、何らかの原因によって見え方に不都合や不便を感じているかたが多くおられます。

そして、見え方の不都合がその人の人生において重大なハンディとなるケースすらあります。

我々眼鏡技術者は、そういったかたに少しでも不便を解消して快適な視界を提供できるようにすることが責務であると考えます。

現在、日本の眼鏡技術者には法的な資格が与えられていませんが、諸外国には、アメリカのオプトメトリストのように眼科医とは別に、検眼士(視機能の専門家)としての国家資格が確立されており、先進国のなかでもなぜか日本だけが立ち遅れた状態になっています。

昭和30年代には資格制度が議員立法の形で上程が取りざたされたり、数年前までは眼鏡業界側が、厚生省、眼科医と折衝を重ね、眼鏡士法の成立を働きかけておりましたが、その努力も報われないまま今日に至っています。

これは、眼鏡店での検眼(屈折検査)等の業務にまつわる眼科医と業界との関係や、業界内の足並みの乱れが資格制定への障害になっていることなどが原因の一つとなっております。

日本眼鏡技術者協会の認定眼鏡士制度などもありますが、これは、業界統一の資格として国家資格へのステップアップをめざすとのことですが、まだまだ国家資格には程遠い現状です。

しかし、現状の日本の眼鏡業界を取り巻く環境下で、国家資格が制度化されても、諸外国のようにはいかないようですし、国家資格の法整備が国民の利益、眼鏡ユーザーの利益となるようなことにはならないのではないかと思えます。

昨今の眼鏡技術を放棄したかのようなスリープライス店や、均一価格店や安売りメガネ店の価格競争や、無責任なメガネ通販は、本来の目的を見失い眼鏡士とは程遠い姿であり、そのような風潮が日本の眼鏡技術の質を下げているのではないかと思われます。

私たちは本来の目的である「大切な目を守る、快適な見え方の提供」を心がけ、努力を惜しまないことが日本のメガネ産業を守り、ひいては大切なお客様の目を守ることになるということを自覚し、眼鏡技術者としての責務を果たしていきたいと考えております。

 

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